ということで、今回はリバランス運用について解説することにしよう!
1、リバランスとは?
まずはじめに、「リバランス」という言葉の意味について説明する。
「リバランス」とは「〜し直す」という意味のリ(Re)がバランス(balance)の前についている通り「バランスを取り直す」という意味である。
2、リバランス運用とは?
リバランスが「バランスを取り直す」という意味であることはわかったが、仮想通貨のリバランス運用においては何のバランスを取り直すのだろうか。それは、
リバランス運用とは、常に現金と仮想通貨の評価額が同じになるようにバランスを取り直す運用方法。
これがリバランス運用になる。このままでは分かりにくいので具体例を仮想通貨の代表であるビットコインを例にとって説明をする。
今回は、前提条件として100万円を元手として用意することにして、ビットコインの枚数はBTCという単位で表記する。
1、ビットコインの評価額が1BTC=100万円の時に運用開始
➡︎ 元手の資金100万円のうち、半分の50万円でビットコインを買う、つまり0.5BTC分のビットコインを購入することで現金とビットコイン評価額が同じになる。
図にするとこうだ。
これで現金とビットコイン評価額が同じになった。
2、その後ビットコインの評価額が1BTC=50万円に下落
運用開始後、残念ながらビットコインの価値が1BTC=50万円まで下落してしまった。
今現在、0.5BTCしか持っていないのでビットコイン評価額は$$0.5*50=25$$万円になってしまう。図にするとこんな感じ。
すると、現金50万円に対し、ビットコインの評価額が25万円しかないため、ここでリバランスを行う。
現金とビットコイン評価額の差は25万円なので、その半分の12.5万円分のビットコイン(0.25BTC)を購入する。
すると、現金とビットコイン評価額が37.5万円で釣り合う。
3、その後ビットコインの評価額が1BTC=100万円に回復
嬉しいことにビットコインは1BTC=100万円まで復活を果たしてくれた。
すると、先ほどとは逆のことが起こり、ビットコイン評価額が高くなるため現金が相対的に少なくなる。
今現在、0.75BTC持っているのでビットコイン評価額は$$0.75*100=75$$万円となる。
そのため、0.1875BTCを売り払いその利益を現金に追加する。こんな感じ。
するとどうだろうか。
あれ、もともと100万円で始めたにも関わらず資産が112.5万円に増えているではないか!
すごく不思議ではないだろうか。しかし実際に起きたことは、ビットコインの価格が100万円→50万円→100万円と往復しただけである。
もしこの間、ただ単にビットコインを持っているだけなら資産は変わらない。これはリバランス運用を行ってこそ実現できる利益なのである。
こんな不思議な運用方法がリバランス運用である。
ちなみに、今回の例とは違いビットコインの価格が100万円→200万円→100万円となっても結果は変わらない。
3、リバランス運用を行った際の利率は?
では、実際に2020年1月1日から2020年12月31日までの1年間、初期資金100万円でリバランス運用を行ったらどの程度の利率となるのだろうか。
実際に計算するのは面倒なので、こんな時はTradingViewの売買戦略テスターを使う。これを使うにはPineスクリプトでプログラムコードを書く必要がある。
売買戦略テスターについては以下の記事にて軽く紹介しているのでこちらの記事もぜひ!
では、本題に入る。先ほどの簡単な例ではビットコインの評価額が半分になった時にリバランスしていたが、ビットコイン評価額が50%下落するなんてそうそうないので、以下の条件でストラテジーを作成した。
1,現金とビットコイン評価額が0.01BTC以上離れた際にリバランスを行う。
2,ローソク足の長さは日足とし、日足が確定した時点(日本時間では午前9時)での終値を参照しリバランスを行う。
以下が結果になる。
緑の線が初期資金の100万円、青の線が現金とビットコインの合計評価額だ。
これは、もし2020年1月1日に100万円で運用を開始していたら、1年後には210万8563円になっていたことを示している。
年利換算で約210%という驚異の数字である。
しかし、
「これはすごい、この運用私もやりたい!」と思った人は要注意である。
そもそも、この利率をたたき出せたのは2020年10月からのビットコイン価格の大幅上昇があったからである。
つまり何を言いたいかというと、どんな相場でもこの利率を叩きだせるのであれば良いが、このひとつだけのデータだけで運用の効果を判断するのは危険だということだ。
実は、このリバランスストラテジーよりはるかに多く利益を出す方法があるのだ。
4、リバランス運用は聖杯なのか?
ここまで期待させておいてなんだが、この魔法のようなリバランス運用も聖杯ではない。
実は、2020年1月1日から初期資金100万円で運用するという同じ条件で一番利益が出るのは、2020年1月1日にビットコインを100万円分購入しリバランスをしないことだ。
以下に、同期間で「リバランス」「一括」「積立」のそれぞれの結果について示している。(それぞれのグラフの色と文字の色を合わせている)
なお、「積立」は一年間での積立金額が100万円になるように1日ごとに積立を行う設定としている。
結果としては、一括:380万円、積立:279万円、リバランス:210万円とリバランス運用の成績が一番悪くなった。
もちろん、2020年の相場でこのような結果になっただけなので、「一括投資が一番優れている!」というわけでもない。
ここで言いたいのは、リバランス運用が聖杯じゃないということだ。
5、リバランス運用の弱点とは?
では、なぜリバランス運用は一括や積立に負けてしまったのだろうか。それは、
リバランス運用は、リバランスする際にコツコツ利確をしてしまうため。
実は、リバランス運用には「コツコツ利確してしまう」という弱点が存在する。
利確とは、利益確定の略語のことで、持っているビットコインを売り払って日本円などの通貨に替えることである。
先ほどリバランスの仕組みをお伝えしたが、ビットコインの評価額が上昇し、現金とビットコインの評価額が乖離していくと、その都度ビットコインを売り払ってリバランスを実施する。つまり、リバランスによってコツコツと利確してしまっていることになる。
例えば、1ビットコインを1BTC=100万円で購入し、1BTC=1100万円になったときに売却をすると、1000万円の利益を得ることができる。
しかし同じ条件で、利確のルールをBTCの評価額が100万円上がるごとに0.1BTCずつコツコツ利確するとすると、550万円の利益しか出せないのである。
つまり、2020年10月からの勢いがある上昇トレンドが発生しているような場面では、どんどんビットコインを売ってしまうため、ビットコインの評価額がさらに上昇しても利益が伸び悩んでしまうのである。
これがリバランス運用の弱点である。
6、まとめ
1、リバランス運用とは、常に現金と仮想通貨の評価額が同じになるようにリバランスする運用方法。
2、リバランス運用ではコツコツと利確してしまうため、強い上昇トレンドが発生した場合に利益が伸びない。
以上となる。
次回は、リバランス運用はどんな場面で効果を発揮するのかについて、「一括」「積立」との比較を行いながら解説を行うのでお楽しみに!
※免責事項※
当サイトにおける記事内容は一般的に入手可能な情報に基づいて管理人が解釈した上で作成しています。よって、記事内で発信していることは全て個人的な見解であり『株式およびそれに準ずる金融商品、資産など』の購入、売却等、投資を勧誘するものではありません。
また、それらの内容について当サイトがいかなる保証を行うものでもありません。
そのため本記事に基づいて投資を行い損失が発生した場合にも当サイトは一切の責任を負いません。
投資に関する決定は、ユーザーご自身のご判断において行われるようお願いいたします。
本記事を気に入っていただけたらブックマークお願いします!また、ツイッターもやってるのでフォローよろしくお願いいたします!
Twitter : makoto(@Makoto_beginner)
また、記事中で不明なことや間違い等ありましたら以下のコメント欄からコメントいただけると幸いです。
皆様のコメントをもとにどこよりもわかりやすいブログを目指していきます。