今回の記事は、「【もはやチート?】分散投資の恐るべき力について」の記事の続きとなるため、先にそちらを読むことをお勧めします。
0、前回記事の振り返り
こんにちは!makoto(@Makoto_beginner)です。前回記事では、複数の資産に投資をすることでリスクを減らしつつリターンを大きくできるということを学んだ。
また、複数の資産の組み合わせをポートフォリオといい、様々なポートフォリオのリスク-リターンをプロットすると下図の青線部分のような面を構成することも学んだ。
そして今、CというポートフォリオとC’というポートフォリオが存在し、それらをリスクリターン平面上にプロットしたものが下図だとすると、C、C’はリターンが同じであるが、Cの方がリスクが低いため効率的なポートフォリオであることがわかる。ここでリターンを上げようとした時を考えると、そのリターンに対し最も効率的なポートフォリオは緑線部分に集まることになる。
この緑線部分を効率的フロンティアという。
前回の記事では、2つの資産に分散投資する例を考えたけど、実際はもっと多くの資産がある。そしてそれらの資産に対して「どの資産をどの割合で持つのか」を考えて効率的フロンティア上に位置するポートフォリオを作る必要があるんだ。
1、CAPMが示す最強のポートフォリオとは?
結論から言うと、
CAPMでは、リスク性資産のポートフォリオは市場ポートフォリオと一致させることが最も効率的である
と結論づけている。では、これが何を意味するのかについて説明する。
2、リスク資産・無リスク資産とは?
CAPMを理解するためには、リスク資産・無リスク資産について知る必要があるが、何も難しいことはない。
・無リスク資産:預金や国債などの収益が安定している資産
・リスク資産:株式や社債などの収益が安定していない資産
無リスク資産の代表である預金は、年利が決まっており安定して収益を望めるので無リスク資産である。基本的には、無リスク資産の方がリスクが少ない分リターンも少ない。リスク資産はその逆である。
前回の記事ではリスク資産の話しかしていないが、資産としては無リスク資産も存在するのでCAPMでは無リスク資産についても考える。
3、無リスク資産を考えた際のリスクリターン平面
無リスク資産をリスクリターン平面上にプロットすると、こうなる。
無リスク資産は収益が安定しており、いわばリスクが0である。そのため、リスクリターン平面上では、上図のようにプロットされる。
ここで、無リスク資産と効率的フロンティア上のポートフォリオAを所有する場合を考える。
そして無リスク資産とポートフォリオAの保有比率を変えていった場合のリスクリターンは以下のオレンジで示す直線で表される。
しかしここで気にしたいのは、オレンジの直線の傾きが「リスクに対してリターンがどれだけ上がるか」を示していることだ。つまり、このことからオレンジの直線はなるべく大きな傾きである方が良いことがわかる。同じリスクを取るならリターンが大きい方がいいに決まっている。そこで、このオレンジの直線の傾きが最大になる様な点を探すと、以下の様になる。
つまり、無リスク資産から効率的フロンティアに接する直線こそが傾きが最大となる。
そしてこの直線と接する部分のポートフォリオを接点ポートフォリオという。
また、この接点ポートフォリオを通るオレンジの直線を資本市場線という。
つまり、無リスク資産とリスク資産を組み合わせるとき、リスク資産のポートフォリオは接点ポートフォリオと同様にすれば良いということである。
4、結局、接点ポートフォリオの構成は?
では、その接点ポートフォリオはどの様な構成をしたら良いかが気になるところだ。
実は、CAPMでは市場ポートフォリオこそがこの接点ポートフォリオだと言っているのである。
市場ポートフォリオとは、この世の全てのリスク資産を時価総額に比例して所有したポートフォリオのことである。
少しわかりにくいので例え話をする。この世にA社、B社、C社の3つの会社しかないとして、それぞれの時価総額を以下の様に仮定する。すると、市場ポートフォリオは以下の投資比率で構成される。
A社 | B社 | C社 | 合計 | |
時価総額 | 700億円 | 200億円 | 100億円 | 1000億円 |
全体対する割合 | 70% | 20% | 10% | 100% |
市場ポートフォリオの投資比率 | 70% | 20% | 10% | 100% |
この様に、市場ポートフォリオは時価総額と同様の比率になる様に投資比率を構成する。
そして、CAPMでは最も効率の良い最強のポートフォリオはこの市場ポートフォリオそのものであると言っているのだ。
5、インデックス運用はCAPMに基づくもの
以前紹介した投資信託の記事でインデックス運用というものが出てきた。
読んでいない人はぜひ読んでみて欲しい。
このインデックス運用はまさにCAPMを応用したものであると言える。
CAPMではこの世の全てのリスク資産を対象としたが、世界中のリスク資産は莫大な数があるので全てに投資することは現実的に不可能である。
そこで、もう少し狭い世界で考えることにする。例えば、日本でいえば日本全体の景気を判断するために日経平均株価やTOPIXなどが存在している。これらは、常に日本の市場の状態を再現できていなければ使い物にならない。つまり、これらは株式において日本の市場全体を再現するために構成されたものであるため、市場ポートフォリオとみなせる。
そこで、インデックス運用ではCAPMの考えに基づきこれらと同様の比率になる様に運用を行なっている。(投資信託の種類により若干構成比率が変わる場合もある)
6、まとめ
・CAPMでは、リスク性資産のポートフォリオは市場ポートフォリオと一致させることが最も効率的である
・無リスク資産:預金や国債などの収益が安定している資産
・リスク資産:株式や社債などの収益が安定していない資産
・無リスク資産とリスク資産を組み合わせるとき、リスク資産のポートフォリオは接点ポートフォリオと同様にすれば良い
・市場ポートフォリオこそが接点ポートフォリオである
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