こんにちは!makoto(@Makoto_beginner)です。今回は前回の記事の続きになる。前回の記事を読んでいない人は是非ともそちらを先に読んでほしい。
それでは、後編スタート!
1、前回の記事のあらすじ
前回の記事では、「ロスカット」の仕組みと「証拠金維持率」について解説した。
要約すると、「ロスカット」とは持っているポジションが損失を生み証拠金維持率が一定の基準以下になると、強制的にポジションを決済して損失が確定することであった。
おやおや、またまた猫の集会で何か話しているようだ。
今回の記事では、「追証」と「FX界隈に恐怖が走った出来事」それに加え「借金を負わないようにする方法」について解説を行う。
2、「追証」とは?
「追証」は「おいしょう」と読み、「追加保証金」の略語である。
簡単に説明すると、
「追証」とは、証拠金維持率が基準を下回った場合に追加で証拠金を入金すること。
である。詳しく説明する。
前回の記事でも学んだように、ポジションの含み損が大きくなると証拠金維持率が低下するが、実はいきなり「ロスカット」が発動するわけではなくて、証拠金維持率がある基準を下回った場合は、まず証券会社から「証拠金維持率が基準を下回ったので、期日までに証拠金を入金してください」と連絡がある。
ここで、期日までに以下のどちらかを実施しないとロスカットのようにすべてのポジションが決済されてしまう。
1、証拠金を追加で入金する
2、ポジションを一部決済して、必要証拠金を下げる
なぜこの方法で証拠金維持率を上げることができるのかは式を見たらすぐに分かる。
今一度、証拠金維持率の定義を思い出してほしい。復習すると、証拠金維持率は以下のような式で計算された。
証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金
この式から分かるように、証拠金維持率を上げるには、
1、有効証拠金を上げる(追加で入金する)か
2、必要証拠金を減らす(持っているポジションを決済する)
しかないというわけだ。
イメージとしては、追証は黄色信号で、対応すれば対処可能だが、ロスカットは赤信号で対処ができないものと考えてもらって良い。
また、基本的にこれらは証拠金維持率が100%や50%を下回った段階で連絡が来るため、通常であれば証拠金維持率は0%を超えている。
しかし、以下に解説するように普段ではあり得ない急激な相場の変動などがあった場合には、証拠金維持率がマイナスとなり借金を負うことがある。
今回は実際に現実で発生したある出来事を交えて紹介する。
3、FX界隈に衝撃が走ったある出来事とは?
そのある出来事とは2015年1月15日に起こった「スイスフランショック」である。
以下に当時のユーロ/スイスフランのチャートを掲載するが、明らかに異様なチャートであることが見て取れると思う。
スイスフランが大暴騰を起こして一気にユーロ安・スイスフラン高となっていることがわかる。実は、このように一気に相場が変動するとロスカットが間に合わずに借金を負うことがあるのだ。詳細は後で説明するが、まずはなぜこのようなスイスフランの大暴騰が発生したのか説明することにする。
ロスカットにて借金を負う仕組みからは少しそれるため、もし記事を早く読みたい人はここは読み飛ばしてもらって4項から読み進めてもらって構わない。
スイスフランは安全資産だった
安全資産とは元本の減るリスクの少ない資産のことを意味する。
例えば、各国には様々な通貨が存在するが、通貨の信用性は発行国の信用に左右される。信用の低い国であれば、仮にその国が破綻したりハイパーインフレが起こってしまえば価値が0になる可能性があるため信用が低い。しかし、日本やアメリカなどは国力が安定しており国が破綻する可能性はほぼないため、これらの国の通貨は信用が高く価値が下落しにくい安全資産であると認識されている。
同様にスイスフランも安全資産だと認識されていたのだ。
世界経済が傾くと安全資産が買われる
そして、安全資産の特徴として世界的な経済危機などが発生すると買われるということがある。
かつて、リーマンブラザーズが破綻した際も安全資産である日本円に買いが殺到し急激な円高が発生したのも記憶に懐かしい。
では、なぜ経済危機が訪れると安全資産が買われるのか?それはいたって簡単だ。
もしあなたが、自分が持っている資産の価値が0になる可能性が高いとしたら一体どうするだろうか。おそらく、まだ資産の価値があるうちに価格の安定している安全資産を購入するだろう。そうすることで、持っていた資産の価値が0になっても安全資産の価値は安定しているため資産の減少を免れることができる。
つまり、こういった心理から経済が傾くと安全資産が買われる傾向があるのだ。
欧州債務危機によりスイスフランへの買いが集まる
欧州債務危機とは、ギリシャの財政赤字により債務不履行が懸念されたことに始まった、欧州の金融危機のことである。
ギリシャの国債は欧州各国が買っていたが、その借金をギリシャが返せなくなれば(債務不履行)欧州各国の経済危機へつながる。
こういった危機感があったため、安全資産であるスイスフランに買いが集中してスイスフラン高へつながることになる。
スイスフラン高を喜べないスイスは為替介入を実施
スイスは日本と同様、輸出産業が活発であることからスイスフラン高は喜べない事態である。なぜなら、自国の通貨の価値が上昇すると輸出産業が停滞するからである。
例えば、1スイスフラン=100円の時に1スイスフランの商品を日本円で買うには100円で良い。しかし、1スイスフラン=200円とスイスフラン高になった状態では、同じ商品でも200円払う必要がある。
つまり、輸出した商品が実質的に高価になり買ってくれなくなるわけだ。その結果、輸出が減ってしまうことになる。
こういった理由から、輸出産業が活発な国では自国通貨の高騰は望まれないのである。
そこで、スイス政府は「為替介入」を行い自国通貨の安定化を図ったのだ。
為替介入とは、自国の通貨を売り買いすることで通貨の安定を図ることだ。
今回、スイスフランが高騰しているため「1ユーロ=1.2フラン」を上限として、スイスフランを新しく作って大量に売ることでスイスフランの価値を下げたのだ。
為替介入により聖杯と言える相場が完成
この為替介入により聖杯ともいえる相場が完成した。以下の図を見て欲しい。
この図は縦軸がスイスフランの価格(€)、横軸は時間を示している。
このように、1.2ユーロのラインまでスイスフラン高になれば、為替介入が行われるため、スイスフランの価値が下がりユーロ高となる。つまりは、1.2€に向かうまでの間スイスフランを購入して、為替介入によりユーロ高となった時に売れば利益が出せることになる。
また、スイスフランを購入しても為替介入により1.2ユーロより価格が下がることはないので、いわばほぼ確実に儲けが出る相場が完成したわけである。
そのため、多くの投資家が高いレバレッジをかけて利益を出そうとしたわけだ。
突然の為替介入撤廃によりスイスフランの大暴騰が発生
しかし、2015年1月15日に突然、為替介入の撤廃が発表された。これにより、今まで聖杯となっていた相場が一気に牙をむいた。
スイスフランが大暴騰し、一気に40%を超える値動きが発生したのである。
この急激な高騰や暴落のことを「フラッシュクラッシュ」という。
これがスイスフランショックの全貌だ。
4、大量のロスカットが発生しシステムが追いつかないことで多額の損失が発生
このスイスフランショックでは、一気に40%を超える値動きが発生したため大量のロスカットが発生してしまった。
通常であれば、ロスカットラインでロスカットを行う。
しかし今回は大量にロスカットが集中し、なおかつ急激な変動が発生したためシステムが追いつかずロスカットラインを遥かに下回る価格でロスカットを行ってしまった。
そのため、追証がマイナスとなってしまい多くの投資家が多額の借金を負うこととなったのである。
つまり、いくらロスカットの仕組みがあるとしても、フラッシュクラッシュが発生してしまった場合は借金を負うことがあるため気をつけて欲しい。
5、借金を負わないようにするには?
ここまで読むと、投資に対して恐怖を感じるかもしれない。しかし、借金を負わずに取引をする方法がある。
それが以下の二つだ。
1、信用取引を行わない(レバレッジ取引をしない)
2、「ゼロカットシステム」を採用している業者で取引を行う
1、信用取引を行わない(レバレッジ取引をしない)
そもそも、「追証」は信用取引を行うから発生するものである。
ならば、どうしても借金を負いたくないなら信用取引ではなく現物取引を行えばいいのだ。
信用取引および現物取引については以下の記事を参考にして欲しい。
2、「ゼロカットシステム」を採用している業者で取引をする
それでもレバレッジ取引をしたい方に朗報だ。実は海外の取引所では「ゼロカットシステム」というものが導入されいる場合が多く、スイスフランショックのようにロスカットが間に合わず口座残高を超える損失が発生してしまった場合にFX業者がマイナス分を負担してくれる制度のことだ。
このシステムを採用している業者では借金を負うことがないため、事前に確認してぜひ積極的に活用していきたい。
しかし、日本国内の業者ではこのシステムがないため、海外の取引所に口座を開く必要があるのが欠点だ。
6、まとめ
1、「追証」とは、証拠金維持率が基準を下回った場合に追加で証拠金を入金すること。
2、ロスカットの仕組みがあっても、フラッシュクラッシュが発生した場合は借金を負う可能性がある。
3、借金を負わずに取引をしたいなら、「現物取引」を行うか「ゼロカットシステム」を採用した業者で取引を行う。
以上、3回にわたって解説してきたこのシリーズも今回が最終回となる。
色々単語が出てきたが、投資に興味があるなら今後絶対に使っていく単語であるので、ぜひとも覚えて欲しいと思う。
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